
遺族補償給付(いぞくほしょうきゅうふ)とは、労働者が業務または通勤が原因により死亡したときに遺族に対して遺族補償給付(業務災害)がまたは遺族給付(通勤災害)支給されます。また、葬儀を行った遺族には葬祭料(業務災害)に支給される労災保険給付のこと。給付の種類は遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があります。
遺族補償給付について
遺族補償給付(いぞくほしょうきゅうふ)とは、労働者が業務または通勤が原因により死亡したときに遺族に対して遺族補償給付(業務災害)がまたは遺族給付(通勤災害)支給されます。また、葬儀を行った遺族には葬祭料(業務災害)に支給される労災保険給付のこと。給付の種類は遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があります。(船舶や航空機が沈没・墜落などの事故により乗っていた労働者が行方不明になった場合、その生死が3ヶ月間わからないときには、労災保険法上行方不明になった日に死亡した者と推定されます。)
遺族補償年金の受給資格者とは
遺族補償年金の受給資格者は、従業員(被災労働者)の死亡当時、その収入により生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟と一定の範囲の遺族ですが、妻以外の遺族については、従業員(被災労働者)の死亡当時に一定の高齢者であるか、あるいは一定の障害の状況にあることが必要とされています。「従業員(被災労働者)の死亡当時、その収入により生計を維持していた」場合だけではなく、主として従業被災労働者の収入によって生計の一部を維持している「共稼ぎ」の場合も含まれます。
受給資格者の順位
遺族補償年金は、受給資格者すべてに支給されるわけではなく、受給資格者のなかで最も先の順位の人(受給権者)にだけ支給されます。なお、順位が同じ受給権者が複数人いる場合には、等分した額がそれぞれの受給権者に支給されることになっています。
- 妻又は60歳以上若しくは一定の障害の夫
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は一定障害の子
- 60歳以上又は一定障害の父母
- 18歳に達する以後の最初の3月31日までの間にある孫又は一定障害の孫
- 60歳以上又は一定障害の祖父母
- 18歳に達する以後の最初の3月31日までの間にある兄弟姉妹若しくは60歳以上の又は一定障害の兄弟姉妹
- 55歳以上60歳未満の夫
- 55歳以上60歳未満の父母
- 55歳以上60歳未満の祖父母
- 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※一定の障害とは、障害等級第5級以上に該当する身体障害をいう(身体の機能若しくは精神に高度な制限をうけているか若しくは労働に高度な制限を加えることが必要とする程度以上の障害をいいます)
※配偶者の場合、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方も含まれます。また、被災労働者の死亡の当時
、胎児であった子は、生まれたときから受給権者となります。
※上記⑦~⑩に該当する人については、その人が受給権者となった場合でも60歳に達するまでは年金の支給が停止されます。「若年停止」という。
失権と失格
遺族補償年金の受給する権利は、以下のいずれかに該当した場合にその人について消滅します。なお、受給権が消滅し、他の同順位受給権者がいないときには、次の順位の受給資格者が新たな受給権者となります。「転給」
- 死亡したとき
- 婚姻したとき(内縁関係を含む)
- 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったとき(事実上の養子縁組関係を含む)
- 養子縁組関係の解消したため、死亡労働者との親族関係が終了したとき
- 子、孫、兄弟姉妹については、18歳に達する日以後の最初の3月31日に達したとき
- 障害状態のため受給資格者となっていた人が障害の状態でなくなったとき
※受給資格者が上記に該当した場合には、受給資格が失われます。これを失格といいます。
遺族補償年金の給付内容
遺族数(受給権者および受給権者と生計を同じくしている受給資格者数)に応じて、遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別年金が支給される。なお、受給権者が2人以上の場合については、その支給額を等分した額がそれぞれの受給権者が受け取る額となる。
遺族数 | 遺族補償年金 | 遺族特別支給金(一時金) | 遺族特別年金 |
1 人 | 給付基礎日額の153日分
(ただし、その遺族が55歳以上の妻又は一定障害の状態にある妻の場合は給付基礎日額175日分) |
300万円 | 給付基礎日額の153日分
(ただし、その遺族が55歳以上の妻又は一定障害の状態にある妻の場合は給付基礎日額175日分) |
2 人 | 給付基礎日額の201日分 | 給付基礎日額の201日分 | |
3 人 | 給付基礎日額の223日分 | 給付基礎日額の223日分 | |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 | 給付基礎日額の245日分 |
船員については、労災保険給付に加え船員保険から給付される場合もあります。